人類の転換点、シルクロードの開拓
シルクロードが人類にもたらした大きな転換。
絶え間ない移動の歴史も人類の歴史の1つでもあるといってもいい。
「商品・スキル・アイデア」の交換が頻繁に行われてきた。
長い歴史の中でこの古道には正式な名はなく呼び名として名づけられただけ。
19世紀半ば、ドイツの地理学者フェルディナント・フォン・リヒトホーフェンが名付ける。
通信と貿易のルートはユーラシア大陸を横断。
歴史上シルクロードとして学んできたものを形成してきた。
シルクロードは道路と海の交通２つをカバー。
世界中の人々がルートに沿ってシルクやその他様々な商品を交換。
広義の意味で海上シルクロードは東西を空路で結び重要な一部となっている。
この海路はかつて香辛料貿易の主要な経路であり、後に香辛料街道として名づけられる。
形成された巨大なネットワーク、影響は商品取引だけに収まらなかった。
人口の頻繁な活動と交流は「知識・アイデア・文化・信念」のつながりをもたらす。
ユーラシア人の歴史と文化に大きな影響を与えることになる。
ルート沿いの都市における文化的交流は発展を続け、多くの教育および文化センターを形成。
旅行者をこの商業ルートに足を運ばせるきっかけにさせた。
「自然科学・芸術・文学・工芸品・技術」様々な知識が共有され広まっていく。
「言語・宗教・文化」も相互に発展、影響を与え合う。
シルクロード開発はその地域の人々の交通に基づいて行われた。
中世では馬やラクダが陸路での貿易の典型的な手段。
シルクロードの宿は長距離を移動する大規模キャラバン用に特別に設計。ルート上の人や物資の移動に重要な役割を果たす。
キャラバンのための満足な食事と安全な休憩場所を提供するだけでなく、商品の交換、地元の市場との取引を提供。
地元の製品や他のキャラバンとの交流を促進し「文化・言語・アイデア」の知識の交流を促進。
シルクロードの発展に伴いルートに沿ったビジネスチャンスが増加。
ビジネス・観光宿の需要はますます高まり、10世紀から中央アジア全域に設立され19世紀まで続く。
ネットワークは中国から「インド・トルコ・北アフリカ・東ヨーロッパ諸国」にまで及ぶ。
危険なシルクロードで野宿で過ごすことを避け貴重な貨物を安全に守れる。
いくつかの観光宿は現在も残っている。
シルク生産の始まりと貿易の拡大
シルク、知らない人はいないと思うが蚕の繭から抽出したタンパク質繊維を織り上げた織物。
製糸技術は紀元前2700年頃の古代中国で生まれる。
当時から非常に価値のある手工芸品。
絹は「皇帝の衣服・家庭用織物・旗・その他の外交上の贈り物」として重宝された。
紀元前3～4世紀の湖北省で発見された古墳からも「ブロケード・糸・絹の刺繍」を含む精巧な絹とサテンのグループが発掘されている。
シルクの製造工程は門外不出の技術として約3000年にわたって極秘にされてきた。
当時の朝廷は絹の製造工程を外国人に明らかにした場合、死刑として処罰するほど厳格。
シルク産業における中国の独占、しかし消費は中国にとどまらず外交上の貢ぎ物として他の国に流れる。
絹の貿易も頻繁に行われた。
最初は近隣諸国にのみ販売され、遠く離れた国にまで拡大。
紀元前206年から紀元後220年、漢王朝の時代までに絹は中国の主要な輸出製品に成長。
エジプトや北モンゴルなどでも漢王朝の織物が発見されている。
ローマ帝国にもシルクが流通。紀元前1世紀頃。
絹はエキゾチックな高級品と見なされ瞬く間に人気が爆発。
ローマ帝国が価格統制の勅令を出したほど。
シルクの人気は中世まで続くことに。
絹は王室の代表的な織物であるだけでなく重要な財源でもあった。
絹の生産に対するビザンチウムも厳格な規制を敷いた。絹が特別な地位を得ていることを反映していた。
ビザンチン様式の教会では特に人気は高く、絹の衣服や室内装飾に対する大きな需要があった。
エキゾチックで荘厳なデザイン。人気が出ないわけがない。
絹はヨーロッパから極東への貿易ルートの開発における原動力の1つになる。
製糸技術に関する知識は非常に貴重な時代。
中国は製糸技術の秘密を維持するために最善を尽くす。にもかかわらず製糸技術はついに中国国外に広まり始める。
紀元前6世紀、最初にインドと日本に伝わる。次にペルシャ王国に伝わり、最後に西洋に。
流出した敬意を歴史家のプロコピウス（西暦6世紀）はこう考えている。
紀元前550年、インドから何人かの修道士がローマ帝国に到着。
ユスティニアヌスを説得しローマはもはやペルシャから絹を買うべきではないと説得。
中国から持ち帰った蚕と製糸の技術をローマに教えることで合意。
僧侶たちはインド人が頻繁に訪れる地域セリンダで絹を作る技術を習得したと語る。
蚕が絹の生産者であり自然が絹を作り続けるように駆り立てていると皇帝に話し説得。
自然の偉大さを説いて納得させた。
火蚕を直接輸送することは難しい。けれど蚕の飼育はとても簡単。
カイコの卵は無数の幼虫に孵化することが可能。
孵化した後することはとても簡単。幼虫を糞で覆うだけ。
成虫に成長するまで保温することが可能。
情報を共有し皇帝と取引を行いインドに帰国。
蚕の卵をビザンチウムに持ち帰り飼育方法を教える。
蚕の卵を孵化させて幼虫にし桑の葉で育てる。
ローマ帝国におけるシルク製造技術の始まりとなった。
「ルート・知識の交流」シルクロードの多様性がより広がる
シルク貿易
中央アジアの貿易ルートの1つでしかなく東西の間で取引された幅広い商品の1つにすぎない。
他にも様々な商品がありシルク以外の「織物・調味料・穀物・野菜や果物・動物の毛皮・宗教的オブジェクト・アートワーク・宝石」など。
中世になるとシルクロードが盛んになり、人々の移動も盛んに。
19世紀まで人々はこの商業ルートを主に利用。
シルクロードの重要性を証明するだけでなく絶え間なく変化する社会のニーズを満たす適応力と瞬発力を証明。
交易ルートも特定の道をたどるだけではなく別れていく。
商人は「東ヨーロッパ・中東・中央アジア・極東」のさまざまな地域へ貿易を始める。
交通ルートもさまざまなで自由に選択する傾向が強い。
陸路に加えて中国や東南アジアからインド洋を経由「アフリカ・インド・近東」に至る海のシルクロードを選択することも。
交通ルートの多様化も注目のひとつ。
時間の経過と地政学的環境の変化に応じてシルクロードも発展してきた。
歴史を通じてみると、ローマ帝国の商人たちはローマの敵であったパルティアの領土を通過することを避けたい。
結果、北上しコーカサスを通過しカスピ海を通過することを選択。
中世初期には中央アジアを横断する河川輸送ネットワークを構築、頻繁な商業交換が行われた。
この水路の水位はやや不安定、上下が激しく時には干上がる。それに応じて交易路を変える必要があった。
海上貿易
当時のもう1つの非常に重要な世界貿易ネットワーク。
最も有名な用途はインドネシアのスパイス諸島とも呼ばれるモルッカ諸島からのスパイスの輸送。
「シナモン・コショウ・ショウガ・クローブ・カルダモン」などで世界中の市場に供給。
海のシルクロードはスパイスロードとも呼ばれる。
シルクロードに沿って移動「織物・木工品・宝石・金属加工品・香辛料・材木・サフラン」を取引。
日本の西海岸から「中国・東南アジア・インド」の海岸線を通り、中東と地中海に至る15万キロを超える長さ。
海上シルクロードは「アラビア半島・メソポタミア・インダス渓谷」を結び、その歴史は何千年も前にさかのぼる。
中世の初め、アラビア半島の船乗りがアラビア海を越えてインド洋に至る新しい航路を開拓。
海上シルクロードネットワークが大きく広がる。8世紀にはアラビアと中国の間の海上貿易通信が確立。
「航海術・天文学・造船」の発達も大きな成長を遂げ、長距離の海の旅が可能に。
海のシルクロード沿いの都市「ザンジバル・アレクサンドリア・マスカット・ゴア」などの港で繁栄を極める。
商人や船乗り、大規模な流入が始まったこれらの都市。
「商品・アイデア・言語・信仰」といった知識の中心地になり、富の中心地にもなる。あらゆるものが集まる場所に。
15世紀後半、ポルトガルの探検家ダガマが喜望峰を航海。
ヨーロッパの船員が東南アジアで海上貿易に参加した最初の例。
シルクロードは商人の基本である物の売買を飛躍的に発展
16世紀から17世紀にかけて熾烈な競争が始まる。
シルクロードと有益な交易は「ポルトガル・オランダ・イギリス」の間で火種を生む。
植民地を正当化していた国は占領した海路に沿った港に皮肉にも富と安全をもたらす。
海上交易路を効果的に統治し地元に大きな需要のある輸入品の独占を規制する権限を与える。
また商船に巨額の税金を課し莫大な利益を得る。
世界中の商人は完成した輸送ネットワークを利用してさまざまな商品を輸送および取引する。
ラクダの隊商は少し休み、物資を補充するためいくつかの道路区間に立ち寄る。
短期間キャンプに留まって商売をする。
停留所はシルクロード全体に広がり、ルートに沿って都市や港が栄えた。
商人は地元の人々と取引を行い外国の商品を地元の人々に販売。各地で地元の製品、特産品を購入して持ち帰る。
シルクロードは商人の基本である物の売買を飛躍的に発展。物質的富と商品の多様性を豊かにした。
シルクロードに沿った「文化・言語・アイデア」などの知識の交流も促進した。
商人は歴史的に見て長い海上貿易の間にさまざまな課題に直面。
中世以降、航海術、造船の発達により海の旅の安全性が大きく向上。
最大の脅威の1つだった飲料水の不足も解決。
海沿いのシルクロードに沿った港の開発によりビジネスを行う機会が増えただけでなく、飲料水の確保も安定。
