「奇跡の薬」 — 中国東北部で缶詰の黄桃が今も特別な理由

「奇跡の薬」になった缶詰の黄桃

缶詰の黄桃が中国東北部の子供たちの心の中で「奇跡の薬」になった理由。
中国東北部の3省で冬の供給がそれほど豊富ではなかったから。
特に新鮮な野菜や果物が少ない北半球の秋から冬にかけて物資が不足し交通が不便になったため。

北部人は冬にあらゆる種類の果物を食べるために果物を缶に入れて砂糖水で密封するため、缶詰の果物を食べる習慣がある。

好奇心旺盛な北東部の子供たちは両親に病気のときに黄桃の缶詰を食べられるのはなぜなのかと尋ねたはず。
おそらくほとんどの北東部の人々は缶詰の黄桃がなぜそれほどの「魔法」なのかをまだよく理解していない。

黄桃の缶詰は東北地方の人々が病気のときに薬として使われることがあり、それに根拠と理由がないわけではない。
まず果物として黄桃には「ビタミンC・リコピン・食物繊維」などの栄養素が豊富に含まれており、多くの栄養を得ることができる。

一般的に人は病気になると食欲がなくなり食べ物の後味が悪くなる。
黄桃を食べ栄養素をとり食欲が徐々に回復。より多くの食事をすることができるようになる。
体はより多くの栄養素を吸収し自然と抵抗力がアップ。体内の雑菌を排除するスピードが速くなる。

黄桃はモモ科の中で最も酸味がありさわやか。
あまり成熟していない黄桃を食べると顔がキュッとなるほど酸っぱい。
甘い砂糖水と組み合わせて缶詰にする場合、酸味と甘味が絶妙に混ざり合い体液を促進して喉の渇きを癒する。

砂糖水に含まれる砂糖は体にエネルギーを供給し体内のドーパミンの分泌を促進。
悪い感情を遠ざけ喜びを感じさせる。

精神的に苦痛が和らぐことで気分が良くなり食用がいくらか増す。病気はより速く治る。
缶詰食品は通常氷冷されており食べると水分が補給され冷やされ、体がより快適な体温になる。

多くの親は缶詰の黄桃を使用して子供に薬を飲ませる。
現在はほとんどの薬はカプセル。
砂糖でコーティングされているか苦味のバランスをとるために他の要素が追加されている。

子供の頃に飲んだ薬は非常に苦く苦味が長く残るため、誰もが薬を飲むことに抵抗があった。
親は黄桃の缶詰を使って子供に薬を飲ませるよう促す。
子供が薬を飲み込んだ瞬間、すぐに甘酸っぱい缶詰を一口食べさせる。

薬が効き始めるまでに時間はかからず数日で体は元の状態に戻る。
「黄桃の缶詰を食べれば元気になる」という魔法のことわざもこのあたりから来ているのだと思う。

当時、缶詰の果物の価格は安くなく一般家庭は子供が病気でない限り日常的に購入して食べることに消極的。
おいしくて甘い缶詰の裏には子どもたちが一日も早く回復し、元気な子どもたちに戻ることを願う親の愛情が込められている。

黄桃の缶詰は多くの東北人に今もなお「奇跡の薬」であり東北の大人は黄桃の缶詰を捨てることがない。
今は一年中新鮮な野菜や果物があり薬はもはや苦くなく飲み込みにくいこともない。

それでも北東部の人々は病気になるとすぐに缶詰の黄桃を購入することを考える。
缶詰の黄桃には子供の頃の思い出と両親の愛が詰まっている。
どんなに疲れていても病気になっても、缶詰に秘められた幸せを感じて元気になる。